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平成25年7月2日
東日本電信電話株式会社
慶應義塾大学SFC研究所
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
日本電信電話株式会社
パナソニック システムネットワークス株式会社
〜スマートシティアプリケーションの実現へ向けたCloud of Things(ClouT)基盤の開発〜
東日本電信電話株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:山村雅之、以下 NTT東日本)、慶應義塾大学SFC研究所(神奈川県藤沢市、所長:金子郁容、以下SFC)、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(東京都千代田区、所長:喜連川優、以下 NII)、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)およびパナソニック システムネットワークス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 高木俊幸、以下 PSN)は、欧州委員会(EC)が実施するFramework Programme 7(FP7)※1と連携して、独立行政法人情報通信研究機構(以下 NICT)が研究委託する 「新世代ネットワークの実現に向けた欧州との連携による共同研究開発」を平成25年4月1日に受託しました。
平成25年7月2日に、東京都三鷹市および神奈川県藤沢市それぞれと、共同研究検討に関する協定締結に至ったため、今後、本格的に「モノのネットワークとクラウドを融合するネットワークサービス基盤」に関する共同研究を開始いたします。また、平成26年よりフィールドトライアルを東京都三鷹市と神奈川県藤沢市において、実施する予定です。
現代の都市は、エネルギー管理の効率化、経済成長と開発、生活の質と安心安全など、多様な課題に直面しています。本研究は、インターネットに接続する人・モノ・サービスをクラウドコンピューティングを基盤として融合することにより、情報を活用して都市をよりスマートにし、これらの現代の都市が直面する課題を解決することを目標に進めてまいります。
なお、本研究では、欧州連合(以下 EU)と連携いたしますが、EUの共同研究者としては、CEA-LETI (フランス)、University of Cantabria (スペイン)、ST Microelectronics (イタリア)、Engineering (イタリア)、Santander市 (スペイン)、Genova市 (イタリア)が参加いたします。
EUにおいては、スマートシティ実証実験の実績を有するSantander市 (スペイン)、Genova市 (イタリア)において、フィールドトライアルが実施される予定です。
現在、無線デバイス、センサデバイスの低価格化が進んだことから、モノに各種センサを取り付け、センサから取得した情報を、ネットワークを通じて収集・処理し、処理した結果を人やモノにフィードバックする「モノのネットワーク技術(IoT)※2」が注目されています。
この技術を活用したサービスを実現するためには、人口よりも遥かに多い大量の情報を処理する必要があることから、クラウドコンピューティング※3技術と組み合わせることにより、モノから収集した情報を効率的に処理する「モノのインターネットとクラウドを融合」するネットワークサービス基盤技術への期待が高まっています。
しかしながら、従来のモノのインターネットとクラウドを融合したサービスでは、サービス毎にシステムを構築しているため、新規サービスの創出に要する金銭的かつ時間的コストが大きいという課題がありました。
本研究では、モノのネットワークとクラウドを融合するネットワークサービス基盤技術の研究開発を推進し、スマートシティを実現することを目標としています。この研究により、共通のサービス基盤を用いたスマートシティサービスを構築することが可能となり、新規サービスの創出に要する金銭的かつ時間的コストが短縮されることが期待されます。
これにより、情報サービスを自治体等が短期的かつ低コストで提供することが可能となり、他のプラットフォームやサービス提供者が、情報サービスを利用することができるようになります。さらに、その都市に存在する人が、独自のサービスを創出することができるようになります。
つまり、企業や市民がスマートシティサービスを容易に開発(利用)できるようになり、都市のリソースが最適化され、住民の行動を支援するスマートシティサービスの普及が期待されます。
なお、本研究では、日欧技術者の交流を図り、EUの共同研究者と連携し、日欧の双方のスマートシティに関わる経験、技術を組み合わせることで、日欧で適応可能なネットワークサービス基盤を実現してまいります。
目標を達成するためのアーキテクチャとして、次の3つのレイヤー(カテゴリ)に機能分担のうえ、データ収集から加工、様々なシティサービス提供の検討までを行います。
また、各受託者における具体的な取り組みは以下のとおりです。
オープンなAPIを用いて、あらゆるデバイス、データ、計算機資源にシームレスにアクセスできる、都市のデータを収集する基盤を構築します。
NTTは、IoTデバイス上で動作する仮想マシンを用いることで、IoTデバイスを統一的に制御し、最終的に複数のIoTデバイスを単一のセンサとして統合する技術の提供を目指します。この技術により、同デバイスが多様化した場合でも、個々の制御を行うことが可能になります。
SFCは、ツイッターに代表されるソーシャル・ネットワークからのデータを、信頼度の高い都市センサとして活用します。この実現のために、ソーシャル・ネットワークのデータからノイズを除去し、データの内容を解析した上で位置に連動した街の情報として活用する技術を実現します。さらに、既設デバイスを容易にIoTデバイスとして活用するための手法を提供します。また、センサ化と同様に、ソーシャル・ネットワーク、既設デバイスから収集したデータを処理した結果を人やモノにフィードバックする技術も研究開発します。
NTTは、都市データ(気温、交通量、人口流量等)を自動変換し、統一された手法で利用可能にするための、都市データのメタデータ記述言語を導入します。
また、メタデータの整備を進めるため、メタデータ記載をサポートする技術についても検討を行います。この技術により、都市毎に異なった形で導入されたセンサデバイスのデータを、相互に流通させることが可能になり、様々なセンサデバイスのデータを利用したアプリケーションを簡単に構築できるようになります。
SFCは、多様な形式で抽象化されたさまざまなサービスを、利用者端末から横断的に利用可能とするために、それらのサービスの機能や性能、役割を記述する共通の形式を提供します。この形式はドキュメント指向、オブジェクト指向、実世界指向であり、これによりアプリケーションは自動的に最適なリソースを選択可能となります。
NIIはサービス化されたセンサ、デバイスを組み合わせて高品質、高信頼なサービスを提供するプラットフォームを構築します。具体的な内容は以下のとおりです。
都市の中に設置された多数のセンサ、デバイスサービスを組み合わせ高信頼なサービスを構築するためのサービス統合手法を開発します。従来のサービス連携における品質保証のための技法を発展させ時空間情報や、センサ・デバイスの多様な信頼性をモデル化することで、高信頼なIoTサービス統合を実現します。
都市内に設置された多種多様なセンサから得られる多量のセンサデータ・イベントストリームを高品質化するための自己修復機能を開発します。個々のセンサから得られるセンサデータに対し、そのデータに含まれるエラーの種類を特定し、除去する処理をリアルタイムに行うことで高品質化を図ります。また、学習機構を導入することで、エラー分類・除去の精度を高めた自己修復機能を実現します。
CIaaS、CPaaSを活用し、都市における市民の生活・公共サービス向上のためのアプリケーションを構築します。
SFCは、都市に設置されたセンサやソーシャル・ネットワークのデータを活用し、都市内に発生する多種多様なイベントを検出・可視化します。更に、市民・行政がそれを活用可能とすることにより、状況に応じた行動支援アプリケーションの実現が可能となります。
PSNは、都市への設置が想定されるネットワーク制御可能な防犯カメラ・街灯を利用し、取得した各種センサデータの解析結果に基づいた公共空間マネジメントおよび公共空間内の市民活動を支援可能なアプリケーションを実現します。
フィールドトライアルにより、モノのネットワークとクラウドを融合するネットワークサービス基盤技術の検証・評価を行います。今回、実証フィールドとしては、スマートシティに関する経験の豊富な東京都三鷹市・神奈川県藤沢市を選定し、フィールドトライアルを平成26年より実施する予定です。
NTT東日本、SFC、PSNは、実証フィールドとなる東京都三鷹市・神奈川県藤沢市における課題を抽出します。抽出した課題を解決するために、ネットワークサービス基盤を適用した都市の情報を可視化し、住民の行動支援を行うサービスを検討、実装します。更に、こうしたサービスの検討を通じて、システムに必要な要件を抽出し、各研究開発に反映していきます。
NTT東日本は、このフィールドトライアルを実施するにあたり、インフラ基盤(データセンター、ネットワーク等)を提供します。
東京都三鷹市・神奈川県藤沢市それぞれにおいて、住民や観光客等の参加によりフィールドトライアルを実施します。トライアルは、全受託者の協力のもと、ネットワークサービス基盤を適用したサービスを通じて、それぞれの地域における課題を解決することを目指して取り組んでいきます。
今後3年間(平成28年3月末まで)、研究計画にもとづき、日本およびEUにおいて研究開発を進めてまいります。研究の状況については、適宜以下のサイトにて提供してまいります。
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